薔薇のキューピッド
あらすじ
両親の死後、ずっと面倒をみてくれた祖父が亡くなり、外国にいたボウは急遽帰国した。
最愛の祖父の死もさることながら、遺言の内容が彼の心を乱していた。
一年間は代々受け継がれてきた広大な屋敷に住むこと、そして、その間は家族同然の屋敷の使用人たちを雇い続けること。
が、中に一人、家族同然とは言えない者がいた。
乳母のマギーだ。
子供のいない家に乳母とは! いったいどんな仕事をしていたんだ?
屋敷にたどり着いたボウは、ようやくその謎めいた乳母と会った。
炎を思わせる赤い髪、真珠のように白い肌、抜群のスタイル――ボウはたちまち熱くなった。
いや、待てよ、もしかすると……。
祖母は僕が結婚しないことを嘆き、子孫が絶えることを心配していた。
ボウは思わず口走っていた。
「君は妊娠しているのかい、マギー?」
もしそうだとすると、これは厄介なことになるぞ!
あなたの面影を
あらすじ
私は夢を見てるのかしら?
ダイアナの家に、10年ぶりにキャムが突然訪ねてきた。
父に虐待されていたあのころ、唯一の心の支えだったキャム。
だが彼の家族は、2人の単なる友情にさえ露骨に嫌悪を示した。
名家の御曹司とダイアナとでは、住む世界が違いすぎたのだ。
キャムが街を出たあと、ダイアナは生きる希望を失い、彼の面影を胸に生きてきた。
なぜ今になって戻ってきたの?
理由を聞いたダイアナは色を失った。
キャムが結婚するなんて!
夢のデザートをどうぞ
あらすじ
サラはいまだに自分の幸運が信じられなかった。
働き始めたばかりのギリシアのシゾートホテルの厨房から、エーゲ海を巡るクルーザーのシェフへ――。
ホテルのオーナー、ニコス・コンスタンティノスが客を招き、一週間の船旅を楽しむ間、料理の腕をふるうことになったのだ。
船の専属シェフが急病で倒れたための臨時の仕事だったが、サラにはニコスに近づける、思ってもみないチャンスだった。
ニコスから彼の祖父へ、さらに祖父の再婚相手の女性へと……。
その女性こそ、まだ見ぬサラの祖母、エレニに違いないからだ。
この度の間にエレニに会いたい。
いいえ、どうしても会わなければ。
サラは、亡き母から託された祖母への手紙に、そっと手をあてた。
愛の空白
あらすじ
思えば、夫にとって私は人形のようなものだった。
すべて夫の意のままで、自分というものがまるでない生活。
それに気づきもせず、よく四年間もともに生活できたものだ。
でも、彼と知り合い結婚した時、私は十九歳。
相手の人間性を見抜けなかったのも、無理からぬことだった。
もう同じ過ちは繰り返さない。
今、目の前にいるピーターとなら、夫と妻が対等の関係にある家庭を築くことができるだろう。
一日も早く彼と結婚したい!
ただ問題は……夫が離婚に応じてくれないこと。
別居してかれこれ一年になるというのに。
めぐる季節の贈り物
あらすじ
両親が旅行中に交通事故で亡くなった――。
看護師長のクロティルドは突然の知らせに、思わず椅子に座り込んだ。
心配して見に来てくれたドクター・サッカリーの言葉も耳に入らない。
クロティルドはすぐにフィアンセのブルースに連絡をとった。
同じ病院で働く研修医の彼に、実家まで送ってもらおうと思ったのだ。
でも彼は上司と会食の約束があって、どうしても行けないと言う。
将来がかかっているから絶対断れないと……。
茫然とする彼女に、ドクター・サッカリーが声をかけた。
「家には僕が送っていくよ」
クロティルドは言われるままに、その厚意にすがった。
やがて味わうフィアンセのさらなる冷たい仕打ちを予期したように。
誰よりも大切な人
あらすじ
緊急救命室に勤務する看護師のポリーは、担当医のニコラスの不機嫌な態度に手を焼いていた。
新人看護師が彼を恐れて近づこうとしなくなり、仕事に支障が出始めたため、ポリーは思い切って彼の自宅を訪ねた。
そこで彼女は思いがけない事実を知らされる。
彼は妻子を事故で失い、ショックから立ち直れずにいたのだ。
ポリーには、悲しみにすさんだニコラスの気持ちがよくわかった。
彼女もまた、5年前に幼い息子を亡くし、夫との離婚を経験していた。
だが彼が徐々に心を開き、親密になるにつれ、ポリーは怖くなった。
彼女はあのとき心に誓ったはずだった。結婚など二度としないと。
身代わりハネムーン
あらすじ
臨時雇いの社長秘書イモージェンは、ある日、ボスのトム・マディソンから意外な命令を受けた。
六週間後のハネムーンの計画を立てろというのだ。
秘書となって六ヶ月、彼が私生活について話したことは一度もない。
イモージェンは驚きながらも、雑誌の記事を参考に計画を立てた。
行き先は、モルディブの豪華なトロピカルリゾート。
ところが結婚式の直前、トムは婚約者の女性から別れを告げられる。
彼女にはほかに愛する男性がいたらしい。
慌てて式場をキャンセルするイモージェンに、トムは言い放った。
「ハネムーンには、きみと一緒に行く」